理想の山旅

きればテント泊がいい。薪ストーブの煙に燻された黒ずんだ梁を持った山小屋もいいが、鮮やかな黄色の小さなテントに身を横たえて、AMラジオを聞きながらうとうとするのは至福の喜びである。

びやかな稜線上のテン場も捨てがたいが、四方を山に囲まれ、カヤトがざわざわ囁く野原にテントをはり、コーヒーを沸かしたりするのもまた良い。

ライが風でなびく音が時折するだけの静かな静かな夜に、月明かりが差し込むテントで、目覚ましをかけずとも、ふと目を覚まし、外を覗けば蒼くぼんやりと照らされた山肌が空に浮かび上がる。

「命の洗濯」というありきたりの言葉が実にしっくりくる、
幕営山行が私は好きだ。