「ひとりで山に行く」ということ


にぎり課長から電話がかかってきた。
雑談ひとしきり、
「あれ?何で電話かけたんだっけかな。」といったん電話を切る。
おにぎり課長ってば、すっかり酔っぱりゃーになってるようだ。


ししてまた着信。
「思い出した、思い出した。今月の岳人読んだ?」
とおにぎり課長。

今月の岳人は「ひとりで山に行く、ということ」
という特集記事がくまれ、おにぎり課長が大好きな岩城史枝さんの文章が載っていた。岩ちゃんの記事を読んで、あとで感想を聞かせてと言い電話は切れた。


ちゃん(おにぎり課長にならってこう呼ばせてもらいますm(__)m)の文章は、女性1人で山に入るときの人的恐怖をつらつらとつづったものだった。
「JOちゃんみたいな、1人で山に行くのがへっちゃらって人の感想を聞いてみたい」と言われた。


人で山に行くのがへっちゃら。かな。私。

人が多い山に行くのは確かに平気なほうだ。
それでもやっぱり、怖さはいつだってつきまとう。


生のとき、1人で北海道をぶらぶら旅した時は、駅で寝たり、さびれたキャンプ場に1人でテントを張ったりしたけれど、それなりに怖い思いはした。
実際に、危ない目にもあった。


すがに、岩ちゃんみたいにナタまでは持たないけれど、1人で駅寝するときシュラフから顔を出さないということは私も同じだ。
また、親切な人に車に乗せてもらったときは、車から降りるまでは、もらった食べ物、飲み物には口をつけるのをためらう。特に相手が男性1人のとき。
そして、できるだけ夫婦連れの人にお世話になるようにしている。


水峠の避難小屋で、知らない男性と2人きりで泊まり合わせたときは、どの程度の挨拶を交わしたらよいもんかためらい、怖さは否めなかった。
(相手も気をつかってたかもしれないですね。。。)


意識過剰と言われようが、なんだろうが、
こんな私でも、やっぱり「山」や「自然」と同様に、「人」は怖い。
あれだけいろんな人にお世話になっておきながら。


「こんにちは〜」が飛び交う、明るい稜線歩きも捨てがたいのだけれど、サルオガセが垂れ下がる、静かでしっとりした森をたった1人でひたひたと歩くのも辞められんわな。
獣の気配、人の気配におびえつつ、それでもやっぱり出かけてしまうのだろうなあ。怖くて、ラジオを流しっぱなしで一晩を過ごすことになるのは分かっているのに。