● 添乗日記1 
     
          サービスってなあに?

        19996月 某公立中学校  林間学校 (In 新潟県)

       回の仕事は、中学2年生の林間学校。林間学校というと、飯盒炊爨が
        お決まり。でも、今回は、地元の人達のお手伝いで、様々な体験をする
        ことができた。
   

     たとえば『農業体験』として、ニワトリの世話をしたり、田んぼの草取りをし
        たり、『工芸体験』として、わらじを編んだり、手びねりをしたりと、数グループ
        に分かれて、半日ごとを過ごす。

    そ
んな2泊3日の行程の最終日『味覚体験』で、私は蕎麦打ちをするグル
        ープに同行・添乗した。蕎麦も上手に打ち終わり、地元のかたがあげた
        天ぷら5種類がどっさり盛られた大皿と一緒に、テーブルに並べられる。
        う〜ん、おいしそう(^^)。

    でも、ここからが、気をつかうところ。食堂の座席は4人掛けテーブルが
        ズラッと並べられていて、天ぷらは8人が同じ大皿で盛られている。学校
        によっては、男子と女子が同じお皿をつつくのを嫌がる。配膳の仕方は
        非常に気をつかうデリケートな問題なのだ。
    
    よって、先生に、盛り方が、これで良いかチェックしてもらうと、「大皿へ、
        8人分盛ってあっても、うちの生徒達は、自分がどれだけ食べたか考えず、
        多く食べ過ぎたりする奴や、自分の分を同じテーブルの奴に食べられたり
        する奴が出る。」とのこと。よって、「一人一皿ずつできないか。」との希望。

    「旅行を円滑かつ安全に催行するお手伝いをする」のが、添乗員の仕事。
       生徒さんをよくご存知の先生のご希望で、「円滑」に旅行ができるお手伝い
       をするため、食堂で、係のかたと、慌てて、60人の食事の盛り付けのやり
       直しをする。


    奇麗に、一人一人取り分けた小皿を見て、軽いため息をついた。
       私自身としては、「大皿」を皆でつつき合うってのが、すごい好きなのだ。

    兄弟が少なくなっていて、家族の帰宅時間も合わない今だからこそ、林間
       学校の時こそ、大皿をつつき合い、「お前、俺の分まで食っただろー!!」
       と、極端な話、殴り合いのケンカまでしてほしい。。。そう、考えてしまうのだ。
 
     もちろん、私は、単なるいち添乗員であって、子育ての経験もなく、教育
        のことに関しても、全くの無知である。単なる理想論とは、わかっていても、

        なんでもかんでも、こっちで用意しすぎることが、甘えを生むことにつなが
        らないか、
気になってしかたないのだった。


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