● 添乗日記9 
     
           私達はプロですから
     

       2000年9月 病院職員 親睦旅行 (In 上高地&飛騨高山)  

   今回の仕事は、某病院で働くかたの親睦旅行でした。30数名、全員女性
     と聞き、「若い看護婦さんがズラリ」を想像してた私でしたが、集合場所に集まっ
     たのは、私の母と同じくらいのオバサンばかり。そういえば、参加者名簿には
     カタカナの名前が多かったっけ(笑)。

   女性ばかりの旅行は初めてで、どんな雰囲気なのかなあと手探りで旅行が
     はじまりましたが、明るい方が多く宴会も盛り上がり、私もお腹を抱えて大爆笑
     してばかり(笑)。

   さて、事件は2日目の昼食場所で起きました。そろそろ集合時間が近づいた
     ので、バスに戻ろうとしていると、店内放送がかかります。「○○会の添乗員様、
     大至急、事務所までお戻りください!」。あれ、私のことだと慌てて戻ると、
     人だかりが出来てます。見ると、中央に私のお客さんが倒れています。頭から
     は血がタラタラ。床にもたくさん血がついています。転んだ拍子に展示ケースの
     角に頭をぶつけてしまったとのことでした。傷口は浅いものの、4センチ近く切れ
     ていて血が止まりません。
     「た、大変!!これは救急車を呼ばなきゃ!?」

   怪我をしたお客さんの脇には、今回の旅行の責任者でもある看護部長さんが
     ピタリと、付き添っています。食事場所のお店のかたに貸してもらった救急箱
     からガーゼを出すと、テキパキと応急処置を施します。血はまだ止まりませんが
     バンドエイドで傷口をつなげ、ガーゼで強く押さえて、そのままバスに戻ります。
     その間、ずっと怪我をしたかたに、安心させる言葉を掛け続けます。

   お店のかたにいただいた氷で冷やしながら、バスを走らせます。心配した顔を
     した私に気づき、看護部長さんが笑顔でこういいました。
     「大丈夫よ。私達はプロですから。」

   確かに皆さん、病院で働くかたばかりではありますけれど、
     「私達はプロですから」、なんて素晴らしい言葉なんでしょう。こう言えるほど自信と
     誇りを持って仕事をすることって、とても難しいでしょうねえ。もちろん、こう言える
     までにはある程度のキャリアも必要なのでしょうけれど、「プロの意識」は新人社員
     でも持てるはずですよね。自分の仕事に対する甘さを痛感させられた出来事でした。


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